「磯で簡単に捕まえられるけど、水道水を入れただけの容器で飼えるの?」
「見た目は川のエビに似てるけど、同じような飼い方で大丈夫?」
「無料で採集できるから、お金も手間もかからない簡単なペットって本当?」

そんな疑問を持っている方に向けて、本記事ではイソスジエビの正しい飼育方法について、必要なものから日々の管理まで詳しく解説します!
「磯の小さな住人」を本当に長く楽しめるのか? 正しい知識を身につけ、「すぐに死んでしまった…」という後悔をしないためのポイントを押さえましょう!
記事のポイント
✔︎ 「イソスジエビ」は海の生き物!
✔︎ 夏場の高水温は致命的!
✔︎ 見た目は可愛いが肉食性も!
✔︎ 適切なろ過や水質管理が長期飼育の鍵
イソスジエビの飼育について
イソスジエビってどんなエビ?
イソスジエビは、体長がオスで約4cm、メスでは7cmほどに成長する、日本で最もポピュラーなエビの一つです。
最大の特徴は、ガラス細工のように向こう側が透けて見える体に、黒い横縞模様が入っている点です。この透明な体は、敵から見つかりにくくするための優れたカモフラージュになっています。
食性は非常に幅広い雑食性で、自然界では小さな生物から海藻、生物の死骸まで食べる「海の掃除屋」としての役割も担っています。
イソスジエビの生息地
イソスジエビが好んで暮らしているのは、岩礁地帯の潮が引いたときにできる「タイドプール(潮だまり)」です。
タイドプールは時間によって環境が変わりやすいですが、イソスジエビはその変化に耐える力を持っています。日中は、鳥や魚などの天敵から身を守るため、岩の隙間や海藻の茂みに巧みに隠れて過ごします。
そのため、水槽で飼う時も、彼らが安心して隠れられる場所をたくさん用意してあげることが、ストレスを無くし、元気に過ごしてもらうための重要なポイントになります。
『つ』みたいになってる姿が可愛くて、気付かれない様に撮影していたら
盗撮がバレて近づいてきた!※花井水族館は撮影しようとすると
ご飯と思ってきちゃうのです💦#花井水族館#イソスジエビ pic.twitter.com/ktrLn81LtT— Bugって花井🦈メガマウスアイドル (@bug_shark) March 22, 2024
イソスジエビの寿命
イソスジエビの寿命は、自然界でも飼育下でもおよそ1年とされています。
この短い一生は、日本の季節のサイクルと深く関係しています。春に生まれ、栄養豊富な夏から秋にかけて成長し、冬を越します。そして次の春に繁殖期を迎え、子孫を残した後に力尽きて一生を終えるのが一般的なライフサイクルです。
どれだけ丁寧に世話をしても、この寿命が大きく延びることは稀なので、この自然な命の巡りを理解し、大切に見守ってあげましょう。
イソスジエビの成長速度
イソスジエビは、硬い外骨格に覆われているため、成長するには古い殻を脱ぎ捨てる「脱皮」を繰り返す必要があります。
特に成長期にあたる夏場は、数週間に一度という頻度で脱皮を行い、一回りずつ体を大きくしていきます。
脱皮直後の体はゼラチンのように柔らかく、全くの無防備です。この危険な時期を乗り越えるため、安全な隠れ家に数日間こもって殻が硬くなるのを待ちます。水槽に脱皮後の抜け殻が落ちていたら、それは順調に成長している証拠です。
イソスジエビの餌
イソスジエビは非常に食欲旺盛な雑食性で、基本的に口に入る大きさのものは何でも食べます。
飼育下では、アサリやシジミのむき身、お刺身の切れ端といった生餌をとても喜びます。日々の管理を簡単にするためには、栄養バランスの取れたエビ専用のフードや、沈むタイプの熱帯魚用フードに慣れさせると便利です。
餌の与えすぎは水質悪化の最大の原因になるため、食べ残しが出たらスポイトなどで取り除いてあげましょう。
イソスジエビの値段
イソスジエビは、観賞魚としてよりも、大きな魚の活き餌として販売されていることが多く、その場合は1匹数十円からと非常に安価です。観賞用としてアクアショップで販売される場合は、状態良く管理されているため、1匹100円から300円程度が相場です。
自分で磯へ出かけて採集することも可能で、これが最もコストのかからない入手方法です。採集する際は、元気よく動き回り、体が透き通っている個体を選びましょう。
イソスジエビは懐くの?
残念ながら、イソスジエビが飼い主を個別に認識して、犬や猫のように「懐く」ことはありません。しかし、飼育環境に完全に適応すると、飼い主を「危険ではないもの」と学習します。
これを「慣れ」と呼びます。長く飼っていると、人が近づいても隠れなくなり、餌の時間には水槽の前に出てきてソワソワと待つような、愛嬌のある行動を見せてくれます。この慣れてくれた姿を観察するのが、飼育の大きな喜びの一つです。
イソスジエビ
家の水槽の掃除係として飼育しています
サツマカサゴはずっと動かないので岩だと思われているようで、たまに上を通っていきます#イソスジエビ #エビ #幼魚 #採集 #魚 #岸壁 #飼育 pic.twitter.com/8fOazxkcyF— 静岡ラブカ (@frillshark_szok) June 12, 2025
イソスジエビは混泳していいの?
イソスジエビは、その小さな見た目に反して、時には自分より小さな魚や他のエビを捕食することがあります。逆に、ベラやカサゴといった肉食性の魚と一緒に入れると、イソスジエビの方が食べられてしまいます。
安全に飼育するためには、イソスジエビだけを飼育する「単独飼育」が最も推奨されます。単独飼育なら、他の生き物を気にすることなく、イソスジエビ本来の自然な行動をじっくりと観察できるというメリットもあります。
イソスジエビの飼育のポイント
ここでは、イソスジエビを実際に飼育する上で絶対に押さえておきたい具体的な方法や、長期飼育を成功させるための注意点について、さらに詳しく解説します。快適で安全な環境を維持することが、エビを健康に育てる何よりの秘訣です。
イソスジエビの飼育に必要なもの
・水槽
イソスジエビの飼育には、少なくとも30cm以上の水槽を用意しましょう。水量が少ない小さな水槽は、水の汚れが早く進んだり、水温が変わりやすかったりするため管理が難しくなります。できれば45cm以上の水槽を選ぶと、水質が安定しやすく、エビにとっても快適な環境を作りやすくなります。
・ろ過フィルター
ろ過フィルターは、水中のフンや残り餌といったゴミを取り除き、有害なアンモニアなどをバクテリアの力で分解してくれる、水槽の「生命維持装置」です。イソスジエビは海に住む生き物なので、必ず「海水対応」と書かれたフィルターを選んでください。
・底砂
水槽の底には、サンゴ砂などを敷くのがおすすめです。見た目が自然な雰囲気になるだけでなく、水をきれいにする有益なバクテリアの住処となり、水質を弱アルカリ性に安定させてくれる重要な役割を果たします。
・ヒーター・クーラー
イソスジエビは急な水温の変化にとても弱いです。冬場に水温が下がりすぎないようにする「ヒーター」と、特に夏場の高水温を防ぐための「クーラー」は必須アイテムです。これらを使って一年を通して水温を一定に保つことが、元気に飼育するための鍵となります。
・隠れ家
岩や小さな土管、植木鉢を割ったものなど、エビが隠れられる場所を必ず用意してください。特に脱皮した直後の体は柔らかく、非常に無防備な状態です。隠れ家は、そうした弱い個体が敵から身を守るための大切なシェルター(避難場所)になります。
・人工海水の素
家庭で海水魚を飼育する場合、水道水と混ぜるだけで安全な海水を作れる「人工海水の素」が非常に便利です。天然の海水と違って、病原菌や汚染の心配がありません。袋に書かれている規定量を守り、塩が完全に溶けるまでよくかき混ぜてから使用しましょう。

イソスジエビに最適な水温
イソスジエビは日本の沿岸に生息していますが、水槽という閉鎖された環境では、急激な水温変化は大きなストレスになります。
飼育下での理想的な水温は、年間を通して20℃~25℃の範囲です。
特に注意すべきは夏場の高水温で、水温が30℃以上は致命的です。必ず水槽用クーラーを設置するか、部屋全体をエアコンで管理する対策が求められます。安定した水温は、病気の予防にも繋がります。
イソスジエビがエサを食べないときの対処法は?
イソスジエビが突然餌を食べなくなった場合、それは何らかの不調のサインです。まず「水質の悪化」を疑い、試験薬でチェックするか、少量の水換えをしましょう。
次に「環境への不適応」も考えられます。水槽に来たばかりの個体は緊張しています。無理に餌を与えず、2~3日静かに様子を見ることが大切です。また、脱皮が近い個体も食欲がなくなります。慌てずにじっくり観察し、原因を探ってあげましょう。
暑い日が続きますね
こちらはイソスジエビによる熱い餌の奪い合いです🔥 pic.twitter.com/2xSFqlbiBh
— 鶴岡市立加茂水族館 (@JELLYFISHAQ) August 19, 2025
長く飼うために意識したいコツ
イソスジエビとの暮らしを最大限に楽しむためには、いくつかの重要なコツがあります。最も大切なのは「安定した水質を維持すること」です。
そのために、週に1回、3分の1程度の水を交換する「定期的な水換え」を欠かさず行いましょう。また、脱皮をスムーズに成功させるために、カルシウム分を補給できるサンゴ砂を敷くのが効果的です。こうした日々の地道な管理が、健康に長く飼育するための最大の秘訣です。
イソスジエビの繁殖について
飼育に慣れると、メスが腹部に鮮やかな緑色の卵をたくさん抱える姿を見られるかもしれません。この「抱卵」は繁殖のサインで、ここからが繁殖飼育の面白いところです。
孵化した幼生は「ゾエア」と呼ばれ、親とは全く違うプランクトンとして水中を漂いますが、その後の成長過程は見ていて飽きません。このゾエア幼生の餌は、意外と簡単に用意できます。かたゆで卵の黄身をほんの少しだけ水で溶いたものや、市販の稚エビ用の液体フードを与えれば、元気に育ってくれます。
親エビに食べられたり、フィルターに吸い込まれたりしないように、別の小さなケースや水槽に分けてあげるのが成功のコツです。少しの工夫は必要ですが、ポイントさえ押さえれば繁殖は意外と簡単で、小さな命が親と同じエビの姿に育っていく様子を観察できるのは、飼育者にとって最高の体験となるでしょう。
イソスジエビの飼育に向いている人とは?
イソスジエビの飼育は、生き物の細かな変化に気づき、それを楽しむことができる探究心のある人に向いています。
約1年という短い寿命を理解し、その中で見せる成長や脱皮といった生命のサイクルをじっくり観察することに喜びを感じられる人には、最高のパートナーとなるでしょう。
また、週に一度の水換えなどを責任を持って継続できる、マメな性格であることも飼育者に求められる資質です。
よくあるイソスジエビの飼育トラブルとその対策
イソスジエビの飼育で直面しがちな、代表的なトラブルとその具体的な対策を以下に示します。事前に知っておくことで、多くの問題を未然に防ぐことができます。
イソスジエビの飼育 まとめ
イソスジエビは、身近な自然で出会える美しくもたくましい生き物です。その飼育は、私たちに生命の神秘や、小さな生態系を維持管理することの面白さを教えてくれます。
寿命が短い、水質管理がシビアなど、いくつかの注意点はありますが、この記事で解説したポイントを一つ一つ丁寧に実践すれば、飼育は決して困難ではありません。
基本的な設備を整え、愛情を持って日々のメンテナンスを行えば、きっとその魅力的な姿で、あなたのアクアリウムライフを豊かに彩ってくれることでしょう。
関連記事はこちらから!!






コメント