アメフクラガエルを飼いたいんだけど、飼うのは大変なの?」
「土に潜りっぱなしで姿が見えないって聞いたけど、何を楽しめばいいの?」
「初心者でも失敗せずに育てるコツが知りたい!」

そんな疑問や不安を抱えている方に向けて、本記事ではアメフクラガエルの飼育は難しいのか?という疑問の答えとその実態について、専門的な視点から詳しく解説します。
SNSで話題の愛くるしい姿に惹かれてお迎えを検討する方は多いですが、実はアメフクラガエルは一般的なカエルとは全く異なる「地中性」という特殊な生態を持っています。正しい知識がないまま飼育を始めると、思わぬ落とし穴で失敗してしまうことも。
この記事を読んで、アメフクラガエルと長く幸せに暮らすためのポイントをしっかり押さえましょう!
記事のポイント
✔ 飼育の難しさは「手間」ではなく「管理のコツ」にある
✔ 最大の失敗原因は「構いすぎ」と「湿度のミス」
✔ 姿が見えない「土を飼う」スタイルへの理解が必須
✔ 長期飼育の成否は、お迎え前の「床材作り」で8割決まる
アメフクラガエルの飼育は難しい? 基本知識

アメフクラガエルの飼育を始めるにあたって、まず理解しなければならないのは、彼らが私たち人間が想像する「カエル」のイメージとは大きくかけ離れた存在であるという事実です。
アメフクラガエルとは?特徴と生態
アメフクラガエルは、学名を「Breviceps adspersus」といい、南アフリカの東部から北部にかけた広大な土地に生息しているフクラガエル科の仲間です。最大の特徴はその極端に丸い体型にあり、外敵から身を守る際や威嚇の際には、さらに空気を吸い込んで体を大きく膨らませるという特異な性質を持っています。
アメフクラガエル、店内にて入荷からしばし餌付けしながら愛でてます🐸
デッカいの1匹、中ぐらいの2匹居ます🐸 pic.twitter.com/Bgj3PVVgco— ペットショップJaRep(ジャレップ) (@JaRep2020) December 10, 2025
一般的なカエルが持つ「跳ねる」「泳ぐ」という機能は退化しており、代わりにスコップのような形状をした後ろ足を使って器用に土を掘り進む能力に特化しています。そのため、生活の基盤は常に土の中にあり、雨が降った時や繁殖の時期以外は、ほとんど地上に姿を現さない徹底した地中生活者としての生態を確立しています。
アメフクラガエルの寿命と成長スピード
このカエルの寿命については、飼育下において適切な環境を維持することができれば、およそ5年から10年程度は生きると考えられています。ただし、日本国内で流通している個体の多くは野生で捕獲されたワイルド個体であるため、正確な年齢を把握することが難しく、お迎えした時点での個体の消耗度合いが寿命を大きく左右します。
成長スピードに関しては非常に緩やかで、ショップで見かけるサイズから劇的に巨大化することはありません。最大でも4センチから5センチ程度というコンパクトなサイズ感であるため、一生を通じて小さな飼育ケースで管理することが可能ですが、その分だけ小さな環境変化が命取りになるという側面も持っています。
アメフクラガエルはなつくのか?
性格は極めて臆病であり、何よりも静寂と暗闇を好む生き物です。

人間との触れ合いを好むことは一切なく、飼い主の気配や振動を感じるだけで、すぐに土の深くまで潜り込んで隠れてしまいます。
日中の行動は皆無と言っても過言ではなく、一日の大半を地中でじっと動かずに過ごすことで、エネルギーの消費を最小限に抑えています。夜間、周囲が完全に静まり返ったタイミングでようやく地表に這い出し、餌を探す活動を始めますが、照明がついたり物音がしたりすると即座に撤退するため、飼育者がその活動シーンを目撃できる機会は非常に限られているのが実情です。
アメフクラガエルの鳴き声
アメフクラガエルの鳴き声は、カエル特有の「ゲロゲロ」という音ではなく、ゴム製のおもちゃを鳴らしたような「ピーピー」という高い音が特徴です。主に外敵への「威嚇」や、繁殖期の「求愛」の際に鳴きます。
音量は控えめなため、マンションなどの集合住宅でも騒音トラブルになる心配はほとんどありません。ただし、体を膨らませて鳴いている時は個体がストレスを感じているサインでもあるため、鳴き声を楽しんだ後は静かに見守ってあげることが飼育のコツです。
アメフクラガエルの種類と選び方
アメフクラガエルと称されて販売されている個体の中には、近縁種のモザンビークフクラガエルなどが混ざっていることがありますが、基本的な飼育方法は共通しています。個体を選ぶ際に最も重要なのは、その個体が持つ「体力」と「反応」をしっかりと見極めることです。
健康な個体は、土の上に置かれた際に力強く後ろ足を使って潜り込もうとする生命力に溢れています。逆に、地表に長時間放置しても潜ろうとしなかったり、皮膚に異様な赤みや傷があったり、全体的に張りがなく萎んでいるような個体は、避けるのが賢明と言えるでしょう。
アメフクラガエルの生息環境
彼らの故郷である南アフリカのサバンナ地帯は、季節によって極端な乾燥と湿潤が繰り返される過酷な環境です。アメフクラガエルは、この厳しい環境を生き抜くために、乾季の間は土の深い場所で夏眠と呼ばれる休眠状態に入り、エネルギー消費を極限まで抑える知恵を持っています。
地表がカラカラに乾いていても、土の深部にはわずかな湿り気が残っており、その水分を皮膚から吸収することで脱水を防いでいます。このような自然界でのサイクルを飼育下でも意識し、過度な加湿や不自然な乾燥を避け、自然に近いリズムを再現することが長期飼育への第一歩となります。
飼育を始める前に知っておくべき注意点
アメフクラガエルを飼育するということは、多くの時間において「中身の見えない土が入った容器」を世話し続けるということに他なりません。これは他の観賞魚や爬虫類のような、いつでも姿を眺めて楽しむというスタイルとは根本的に異なります。
生存確認をしたいという飼い主のエゴで、頻繁に土を掘り返してカエルを露出させる行為は、彼らにとって死に直結するほどの甚大なストレスを与えます。姿が見えないことへの不安を克服し、適切な温度と湿度の管理という、目に見えないメンテナンスを淡々と続けられる精神的な余裕が、飼育者には何よりも強く求められます。
=͟͟͞͞ =͟͟͞͞ ⊂(〃°⌯°〃)⊃〃💨 🥔
#アメフクラガエル pic.twitter.com/CqGxRYgADM
— ゆず飴 (@choco_tan03) December 15, 2025
アメフクラガエルの飼育は難しいのか?

多くの飼育希望者が抱く「アメフクラガエルの飼育は難しい」というイメージは、半分は正解であり、半分は誤解であると言えます。
初心者でも飼育できるか?

アメフクラガエルの飼育は、両生類飼育の基本的なルールさえ守ることができれば、初心者であっても決して不可能ではありません。
むしろ、毎日散歩が必要なペットや、数日おきの水換えが必須の熱帯魚に比べれば、日常的な手間は極めて少ない部類に入ります。しかし、初心者が陥りやすい「可愛がりすぎてしまう」という行動が、このカエルにとっては最大の脅威となります。
彼らの生態を論理的に理解し、不必要な干渉を排除できる人であれば、初めてカエルを飼うという方でも、何年も健やかに育て続けることができる素晴らしいパートナーになるはずです。
飼育で失敗しやすいポイント
失敗の多くは、導入初期の段階で発生します。野生から捕獲されて日本に届くまでの間に、個体はすでに極度のストレスと脱水状態にあることが多く、この「立ち上げ」の時期に誤った管理をすると、あっけなく命を落としてしまいます。
また、土の汚れを見逃してしまうことも失敗の原因です。彼らは土の中で排泄を行うため、見た目には清潔に見えても、土の中ではアンモニアや雑菌が蓄積されていることがあります。姿が見えないからといって掃除を怠ったり、逆に良かれと思って毎日霧吹きをして土を泥状にしてしまったりすることが、致命的な失敗へと繋がっていくのです。
温度・湿度管理の難しさと対策
アメフクラガエル飼育において最も技術を要するのが、この湿度管理のバランス調整です。彼らは乾燥しすぎれば干からびてしまいますが、逆に常に湿った状態では皮膚病を発症したり、窒息したりするリスクが高まります。
理想的なのは、土の表面は常にサラサラに乾いており、深さが増すにつれてしっとりとした湿り気を帯びていく「湿度のグラデーション」を作ることです。これを実現するためには、霧吹きで表面を濡らすのではなく、ケージの隅から少量の水を流し込み、底部の土だけに水分を含ませるというテクニックが非常に有効であり、カエルが自ら最適な湿度の層を選べる環境を提供することが重要です。
餌や水質管理の難易度
餌の管理に関しては、アメフクラガエルの口が非常に小さいことを考慮しなければなりません。
成体であっても、一般的なカエルが食べるような大きなコオロギは食べられず、初令から極小サイズのコオロギや、専用のシロアリなどを用意する必要があります。
また、動くものにしか反応しないため、生きた餌を常備しなければならないという点も、飼育のハードルを上げる要因となります。水質に関しては、水入れを設置しても彼らがそこから水を飲むことは稀であり、基本的には土の中の水分で全てを賄います。
そのため、水そのものの管理よりも、土の清浄さを維持することに全神経を注ぐ必要があります。
病気やストレスのリスク
アメフクラガエルがかかりやすい病気として、カルシウム不足からくる「くる病」や、不衛生な環境による「細菌感染症」が挙げられます。くる病は、一度発症して骨が変形してしまうと元の姿に戻すことは困難であり、最悪の場合は自力で潜ることができなくなり死に至ります。
これを防ぐためには、与える餌に必ずカルシウム剤をまぶす「ダスティング」を徹底しなければなりません。また、不適切な温度設定や、夜間の過度な照明によるストレスは、個体の免疫力を著しく低下させ、普段なら問題にならないような常在菌による感染を引き起こす原因となるため、常に生体ファーストの環境維持が求められます。
飼育を続ける上でのコツと注意点
長期飼育を実現するための最大のコツは、カエルの「休眠スイッチ」を理解することにあります。季節や温度変化によって、カエルが数週間にわたって土から出てこず、餌も食べない時期が訪れることがあります。
この時に「病気かもしれない」と慌てて掘り起こしたり、無理やり食べさせようとしたりするのは厳禁です。カエルが自分で眠ることを決めたのであれば、飼育者はその意思を尊重し、土の底部が乾ききらないように注意しながら、彼らが自発的に目覚める春や雨の季節を模したタイミングを待つという、自然の摂理に寄り添った忍耐こそが、飼育を成功させる秘訣となります。
アメフクラガエルの飼育に必要な環境と設備
成功する飼育環境を整えるためには、デザイン性よりも「機能性」と「カエルの生態への合致」を最優先して設備を選ぶ必要があります。
飼育ケージのサイズと種類の選び方
飼育ケージは、幅20センチから30センチ程度のコンパクトなもので問題ありませんが、重要なのは「高さ」と「通気性」のバランスです。土を10センチ以上の深さで敷き詰める必要があるため、浅すぎるケースでは土が溢れてしまいますし、逆に深すぎると空気が停滞して蒸れの原因になります。
プラスチック製の飼育ケースは、軽くてメンテナンスがしやすく、適度な通気孔があるため初心者にも扱いやすいです。一方で、インテリア性を重視してガラス水槽を使用する場合は、上部をメッシュ蓋にするなどして、常に新鮮な空気が循環し、湿気がこもりすぎないような工夫を凝らすことが必須条件となります。
おすすめはこちらの飼育セットです。
床材・水場・隠れ家の設置方法
床材は、アメフクラガエルにとっての「家」そのものであり、最もこだわらなければならないポイントです。保水性と通気性を兼ね備えた黒土をベースに、粒の細かい赤玉土やパームマットを独自の比率でブレンドし、カエルが潜りやすく、かつ崩れにくい硬さを維持するように調整します。水場については、溺死のリスクを最小限にするため、設置するとしてもごく浅い小皿にとどめ、基本的には土の湿り気で代用させます。
隠れ家に関しても、彼らにとっては土の中こそが最大の安らぎの場であるため、地表に人工的なシェルターを置く必要はなく、その分だけ良質な土をたっぷりと用意してあげることが、彼らにとっての最善の配慮となります。
温度・湿度の管理方法
適切な温度範囲は22度から27度程度であり、特に日本の猛暑には非常に弱いため、夏場のエアコン管理は必須となります。30度を超える環境に長時間置かれると、熱中症や休眠による極度の衰弱を引き起こすため注意が必要です。
湿度の管理については、前述の通り「土の底を湿らせ、表面を乾かす」という手法を徹底します。これを実現するためには、ケージの中に一本のパイプを立て、そこから直接底の方へ水を注ぐといった工夫を凝らす飼育者も多くいます。毎日デジタル式の温湿度計を確認し、数値だけでなく、実際に土を触ってみて湿り具合を確かめるというアナログな確認作業も、感覚を養う上では非常に重要です。
照明や加温器の選び方と使い方
アメフクラガエルは強い光を嫌うため、専用のバスキングライトや紫外線ライトは基本的には不要です。部屋の明かりが届く程度の場所であれば、自然な昼夜のリズムを作ることができます。冬場の加温については、パネルヒーターをケージの側面に貼り付けるか、底面に敷く場合はケージ全体の3分の1程度の面積に留めるようにします。
これは、ケージ全体を温めてしまうと、カエルが暑いと感じた時に逃げる場所がなくなってしまうためです。土の中は温度が伝わりやすいため、サーモスタットを併用して過加熱を防ぎ、常に一定の温度勾配が保たれている状態を作り出すことが、生体の安全を守ることに直結します。
水質管理と水換えの頻度
水入れを使用している場合は、毎日新鮮な水に交換し、ぬめりや汚れを取り除きます。しかし、アメフクラガエル 飼育において真の意味での「清掃」とは、床材である土のメンテナンスを指します。土の中に蓄積される老廃物を完全に除去することは難しいため、3ヶ月から半年に一度の頻度で、すべての土を新しいものに入れ替える「全換土」を行うことが推奨されます。
この際、急激な環境変化によるショックを和らげるため、以前の土をわずかに混ぜたり、入れ替え後の数日間は特に静かな環境を提供したりするなどの細やかな配慮が、長期飼育を支える重要なルーチンワークとなります。
アメフクラガエル飼育に向いてる人・向いていない人
最後に、この風変わりなカエルの飼育に向いている適性についてまとめます。アメフクラガエル 飼育に向いているのは、何よりも「観察すること」と「待つこと」に喜びを感じられる人です。姿が見えなくても、ケージの中の土の状態を見てカエルの健康を推測し、たまに夜中に見せる一瞬の姿を宝物のように思える人には、これ以上なく魅力的なペットとなります。
一方で、犬や猫のように積極的に触れ合いたい人や、常に動いている姿を見て癒やされたい人、あるいは心配性すぎて毎日土を掘り返してしまうような人には、このカエルの飼育は大きなストレスとなってしまう可能性が高いため、自分のライフスタイルと照らし合わせて慎重に判断することが大切です。
アメフクラガエルの飼育は難しいのか?:結論とまとめ
「アメフクラガエル 飼育は難しいのか」という問いに対し、結論から言えば、このカエル特有の「土の管理」というルールさえ守ることができれば、初心者でも決して不可能ではありません。多くの人が失敗してしまう最大の原因は、姿が見えない不安から頻繁に土を掘り返してストレスを与えてしまうことや、良かれと思って霧吹きをやりすぎてケージ内を蒸れさせてしまうことにあります。
アメフクラガエル 飼育を成功させるためには、土の表面は常にさらさらに乾かし、底の方だけがしっとりと湿っている「湿度のグラデーション」を維持することが何よりも重要です。適切な温度管理と、口のサイズに合わせた極小の生餌、そしてカルシウムの補給を徹底し、あとは彼らの地中生活を静かに見守る忍耐強さを持つことができれば、この愛くるしい「動かない妖精」を健やかに育て上げることができるでしょう。




コメント