「グレートピレニーズを飼いたいけど、お金持ちじゃないと無理って本当?」
「優雅な見た目だけど、やっぱり維持費がすごく高いの?」
「広い庭付きの豪邸じゃないと、幸せにしてあげられないのかな?」

そんな疑問を持っている方に向けて、本記事ではグレートピレニーズは本当に「金持ちの犬」なのかどうか?について詳しく解説します!
「グレートピレニーズは金持ちの犬」というイメージの真相は? 正しい知識を身につけ、憧れのグレートピレニーズとの生活で後悔しないためのポイントを押さえましょう!
✔ 「金持ちの犬」のイメージは、高額な生涯コストが理由
✔ 夏場の24時間エアコン管理など、維持費が特に高額
✔ 経済力だけでなく、広い飼育スペースと多くの時間が必要
✔ 最も重要なのは経済力よりも「生涯を共にする覚悟」
グレートピレニーズは金持ちの犬?
「金持ちの犬」という少し寂しいイメージの真相を探る前に、まずはグレートピレニーズが一体どんな個性を持った犬なのか、その基本的なところから、もっと深く知っていきましょう。
・グレートピレニーズの性格
・グレートピレニーズの寿命
・グレートピレニーズの値段
・グレートピレニーズの餌
・グレートピレニーズの臭い
・グレートピレニーズはなつく?
グレートピレニーズってどんな犬?
グレートピレニーズは、その名前が示す通り、フランスとスペインの国境に雄大に連なるピレネー山脈で生まれた、とても体の大きな犬種です。その歴史は非常に古く、何千年もの昔から、広大な山の中腹で羊飼いと生活を共にし、大切な羊たちをオオカミやクマなどの危険な動物から守る、頼もしい番犬(牧羊犬)として、なくてはならない存在でした。
その重要なお仕事のために、グレートピレニーズの体は大きく、たくましく作られています。がっしりとした骨格と、力強い筋肉に覆われた体を持ち、大人のオスになると、立った時の背中までの高さが70cmから80cm以上、体重は50kgを優に超え、大きな子では70kg近くにもなります。これは、大人の女性くらいの体重に匹敵します。
グレートピレニーズの性格
穏やかで落ち着きのある性格が特徴的で、家庭でも安心して暮らせる犬種。見知らぬ人や動物に対しては警戒心を見せることもあるが、攻撃的ではなく冷静に対処する傾向がある。家族には深い愛情を示し、特に子どもに対しては優しく接することが多い。
ただし、自立心が強いため、常に誰かにかまってもらいたいというタイプではない。信頼を築くには時間がかかることもあり、しつけには一貫性と根気が必要になる。
グレートピレニーズの寿命
グレートピレニーズのような、とても体の大きな犬種は、残念ながら、体の小さな犬種に比べると、一緒に過ごせる時間が少し短い傾向にあります。急激に成長する大きな体に、心臓や関節が少し負担がかかりやすいためです。平均的な寿命は、およそ10年から12年と言われています。
もちろん、これはあくまでひとつの目安です。遺伝的に丈夫であることや、日々の食生活、適切な運動、そして何よりもストレスのない幸せな環境が、その寿命に大きく影響します。特に、関節の病気や、夏場の熱中症など、大型犬ならではの健康リスクを飼い主がよく理解し、予防に努めることが大切です。毎日の丁寧なケアと、たくさんの愛情を注いであげることで、平均寿命を超えて、長く元気に、幸せな犬生を送ってくれるグレートピレニーズもたくさんいます。
グレートピレニーズの値段
グレートピレニーズの健康で可愛い子犬を、新しい家族として迎える場合、その費用は、一般的に30万円から60万円くらいがひとつの目安になります。もちろん、犬種専門のドッグショーで優秀な成績を収めた親犬から生まれた子犬など、特別な血統の場合は、80万円や100万円を超えることもあります。
グレートピレニーズの餌
グレートピレニーズの大きな体を毎日しっかりと支えるためには、質の良いごはんが欠かせません。大人になると、1日に食べるドッグフードの量は、その子の運動量や年齢にもよりますが、およそ500gから800gほど。1ヶ月に換算すると、15kgから20kg以上の大きな袋のフードも、あっという間になくなってしまいます。
どんなフードを選ぶかによって費用は大きく変わりますが、大きな体を支える関節の健康を考えた成分や、美しい被毛を保つための成分が含まれた、質の良いフードを選んであげたいものです。そうなると、食費だけでも毎月かなりの金額になることを知っておく必要があります。
グレートピレニーズにおすすめのドッグフードはこちらです。
グレートピレニーズの臭い
「こんなに大きくて毛がふさふさだと、臭いもすごいのでは?」と心配されるかもしれませんが、グレートピレニーズは、犬種としては体臭が少なく、とても清潔好きな犬だと言われています。その理由は、被毛が持つ特別な性質にあります。少し硬い上毛(オーバーコート)が、泥などの汚れを自然と弾いてくれるのです。
グレートピレニーズはなつく?
グレートピレニーズは、心を許した家族のことが本当に大好きになり、とてもなつきます。その大きな体で、足元にそっと寄り添ってきたり、眠っている飼い主の顔を、信頼しきった優しい目で見つめてきたり、その愛情表現は、飼い主にとって、何物にも代えがたい、かけがえのない宝物になるでしょう。
グレートピレニーズは、非常に賢く、自分で物事を判断する力を持っています。そのため、しつけの場面では、その子の独立した心を尊重し、理解してあげることが大切です。「なぜこれをする必要があるのかな?」と、犬自身が考える時間を与え、力で押さえつけるのではなく、優しく、そして根気強く教えてあげる必要があります。この信頼関係を築くプロセスこそが、グレートピレニーズと本当の家族になるための、最も重要で、最も幸せな時間なのかもしれません。
グレートピレニーズは金持ちの犬と言われる理由
グレートピレニーズという犬の、基本的な魅力や特性が少しずつ見えてきたところで、いよいよ本題の核心に迫ります。なぜ、これほどまでに優しく愛情深い犬が、「金持ちの犬」という、少し距離を感じさせるイメージで語られることが多いのでしょうか。それには、やはり見た目の豪華さだけではない、いくつかの無視できない、現実的な理由が存在するのです。
理由②:食費や光熱費など日々の維持費が高い
理由③:プロのトリミングが必須
理由④:毎日の散歩に多くの時間を確保する必要がある
理由⑤:大型犬がゆったり過ごせる広い飼育スペースが必要
理由⑥:暑さに弱く、24時間の温度管理が求められる
理由⑦:ペット保険も大型犬料金で高額になりがち
理由⑧:ケガや病気の際の医療費が高額になる
理由⑨:優雅で高級感あふれる見た目のイメージ
理由①:犬自体が高い
まず、多くの人が感じる最初のハードルは、子犬を迎えるための初期費用、すなわち生体価格そのものが高額であることです。前述の通り、心身ともに健康で、その犬種らしい穏やかな性格を持つ子犬を、遺伝的な知識と深い愛情を持ったブリーダーから迎える場合、どうしても数十万円という費用が必要になります。
これは、健全な命を育むための正当な対価ではありますが、誰でも気軽に決断できる金額ではないことが、「選ばれた人の犬」というイメージの入り口になっていることは間違いありません。
理由②:食費や光熱費など日々の維持費が高い
グレートピレニーズとの生活は、初期費用だけでなく、その後何年も続く日々のランニングコストも、他の犬種に比べて格段に高くなります。月に数万円にもなる餌代はもちろんのこと、その大きな体を満足させるおもちゃや、ゆったりと眠れる大きなベッド、丈夫な首輪やリード、そして何より見過ごせないのが、夏の間の光熱費です。これら全てが、小型犬と暮らす場合とは比較にならないほどの費用となります。
このように、毎月安定して大きな固定費がかかるという現実が、「経済的な余裕が必要」というイメージに直結しています。
理由③:プロのトリミングが必須
あの息をのむほど美しい純白の被毛を、家庭だけで完璧に、そして衛生的に管理し続けるのは、想像以上に大変な作業です。特に、シャンプーをして、皮膚までしっかりと濡れた分厚い被毛を、根元から完全に乾かすのは、一般家庭のドライヤーでは非常に難しく、数時間がかりの重労働となります。
もし生乾きの状態が続けば、皮膚が蒸れてしまい、深刻な皮膚病の原因にもなりかねません。そのため、多くの飼い主さんは、月に一度程度のペースで、専門的な設備と技術を持ったプロのトリマーさんにお願いすることになります。当然、超大型犬のトリミング料金は高額になり、これもまた大きな経済的負担となります。
理由④:毎日の散歩に多くの時間を確保する必要がある
グレートピレニーズとの豊かな生活には、お金だけでなく、日々の「時間」という、何よりも貴重な資源を十分に確保する必要があります。グレートピレニーズは、短距離を全力で走るような激しい運動よりも、自分の縄張りを見回るように、ゆったりとしたペースで長い時間をかけて歩くことを好みます。
そのため、心と体の健康を維持するためには、毎日合計で1時間から2時間程度の散歩が推奨されます。朝の忙しい時間や、仕事で疲れて帰ってきた夜でも、雨の日でも、毎日欠かさず、この時間を愛犬のために捧げられるか。それは、経済的な余裕以上に、生活そのものの豊かさが問われる点かもしれません。
無限の金と体力があったら、グレートピレニーズを迎えたい…。白くてもふもふで…すごい憧れる。
— 鳥山。 (@pero8_) October 30, 2023
理由⑤:大型犬がゆったり過ごせる広い飼育スペースが必要
体重50kgを超える巨体が、家の中で心身ともにリラックスし、「ここが自分の安心できる場所だ」と感じるためには、絶対的な広さの生活空間が不可欠です。
狭いお部屋では、常に体の向きを気にしたり、尻尾が家具にぶつかったりして、犬は知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまいます。成犬が手足を思いっきり伸ばして寝そべっても誰の邪魔にもならず、立ち上がって優雅に方向転換できるくらいの、ゆったりとしたスペースがリビングに求められます。
理想を言えば、安全に囲われた庭があり、室内と外を自由に行き来できるような一戸建ての環境が望ましいでしょう。このような住環境を用意すること自体が、多くの人にとって高いハードルとなります。
理由⑥:暑さに弱く、24時間の温度管理が求められる
これは、日本でグレートピレニーズと暮らす上で、最も重要で、そしてコストのかかる課題の一つです。雪深いピレネー山脈で、寒さから身を守るために進化してきたグレートピレニーズにとって、日本の、特に都市部の、まとわりつくような高温多湿の夏は、生命の危機に直結するほど過酷な環境です。
分厚いダブルコートは、まるでダウンジャケットを着ているようなもの。熱を逃がすのが非常に苦手で、熱中症のリスクが極めて高いのです。そのため、夏場は飼い主がお仕事で留守にする時も、夜寝ている時も、エアコンによる24時間体制での厳格な温度・湿度管理が絶対条件となります。
この「命を守るための電気代」を、ためらうことなく支払い続けられる覚悟が、飼い主には求められます。
理由⑦:ペット保険も大型犬料金で高額になりがち
万が一の病気やケガは、いつ訪れるか分かりません。そんな時に、治療費の心配をせずに最善の選択をしてあげるために、ペット保険はとても心強い味方です。
しかし、保険料は犬の体の大きさや、犬種ごとのかかりやすい病気のリスクに応じて算出されるため、グレートピレニーズのような超大型犬は、保険会社が設定する最も高い保険料クラスになるのが一般的です。
年齢や補償内容にもよりますが、月々の保険料が1万円や1万5千円を超えることも珍しくなく、これもまた、毎月の生活費にずっしりと乗ってくる固定費となります。
理由⑧:ケガや病気の際の医療費が高額になる
もし、グレートピレニーズが病気やケガをして動物病院にかかった場合、その医療費は、小型犬のケースとは桁が違うことも覚悟しておく必要があります。これは、診断のためのレントゲン撮影から、治療のための麻酔、処方されるお薬の量、手術に必要な時間や特別な設備まで、その全ての費用が、体の大きさに比例して増大するためです。
特に、大型犬に多い股関節の病気や、骨の腫瘍、胃捻転といった緊急手術が必要な病気では、100万円近い費用がかかることも決して珍しくありません。ペット保険に加入していても、自己負担は発生します。日頃から、こうした緊急時に備えた十分な経済的準備がなければ、愛犬に最善の治療を受けさせてあげられないという、辛い現実に直面する可能性があるのです。
理由⑨:優雅で高級感あふれる見た目のイメージ
そして最後の理由は、性能や費用といった具体的な話ではなく、グレートピレニーズが放つ、純粋な「イメージ」の問題です。純白で気品あふれるその姿、穏やかで動じない威厳のある佇まいは、誰の目にも、まるで手入れの行き届いた広大な庭のあるお屋敷や、高級リゾートのロビーが似合うような、優雅でリッチな雰囲気を醸し出しています。
実際に、映画やドラマ、雑誌などのメディアでも、そのような裕福な家庭の最高のパートナーとして描かれることが非常に多く、そうしたイメージの積み重ねが、私たちの心の中に「グレートピレニーズは、特別な環境で暮らす、お金持ちの犬」というパブリックイメージを、強力に、そして無意識のうちに作り上げてきたと考えられます。
「グレートピレニーズは金持ち」じゃないと無理?
ここまで、数々の「金持ちの犬と言われる理由」を読み進めてきて、「やっぱり、自分にはとても無理かもしれない…」と、憧れの気持ちが少ししぼんでしまった方もいるかもしれません。確かに、経済的な負担や環境的な制約は、決して無視できない、とても大きな問題です。
しかし、グレートピレニーズを幸せにするために本当に必要なのは、銀行口座の残高の多さだけではありません。何よりも大切なのは、グレートピレニーズという、唯一無二の素晴らしい犬種の特性を心から愛し、その命の全てを、生涯にわたって幸せにするという、飼い主の揺るぎない「心構え」と、そのための「具体的で現実的な準備」なのです。
毎日の散歩や触れ合いの時間を本当に確保できるか
大型犬が快適に過ごせる十分な飼育スペースの確認
日本の夏を乗り切れるか?24時間の温度・湿度管理の覚悟
家族全員の同意と協力体制は整っているか
独立心を理解し、根気強く向き合うしつけの覚悟
万が一の病気や介護に備える心と費用の準備
信頼できるブリーダーや保護犬の情報を探す
グレートピレニーズを飼ってはいけない人の特徴
グレートピレニーズは金持ちの犬? まとめ
生涯コストをシミュレーション
まず、感情を一旦横に置いて、冷静に数字と向き合ってみましょう。ノートやパソコンの表計算ソフトを開き、グレートピレニーズと12年間一緒に暮らした場合、生涯でどれくらいのお金がかかるのかを、できる限り具体的に計算してみることを強くお勧めします。
迎えるための初期費用、144ヶ月分(12年×12ヶ月)の毎月の維持費(食費、トリミング代、保険料、消耗品など)、そして、万が一の大きな手術や治療に備えるための緊急時費用として、最低でも50万円から100万円の枠を確保します。
そうして算出された総額と、ご自身の現在の収入、貯蓄、そして将来のライフプランを照らし合わせ、この計画が本当に無理なく実行可能かどうかを客観的に判断することが、愛情深い飼い主になるための、最も重要で誠実な第一歩です。
毎日の散歩や触れ合いの時間を本当に確保できるか
次に、お金ではなく「時間」という、もう一つの大切な資源について考えてみましょう。ご自身の、そしてご家族の、1週間のスケジュールを紙に書き出してみてください。仕事、通勤、家事、睡眠、そして友人との時間。
その中で、これから先、10年以上にわたって、毎日欠かさず、合計で1時間から2時間の散歩や、ブラッシング、そしてただ静かに心を通わせるための時間を、喜んで確保できるでしょうか。「やらなければならない義務」としてではなく、「愛犬と過ごす幸せな時間」として、その時間を心から楽しめるかどうか。仕事がどんなに忙しい日も、自分の体調が少し優れない日でも、その時間を捻出できるか、あるいは家族が協力してくれるのか。具体的な生活の場面を想像することが大切です。
大型犬が快適に過ごせる十分な飼育スペースの確認
お家のリビングや、犬が主に過ごすことになる部屋で、メジャーを手に取ってみてください。そして、床に「縦2メートル×横1.5メートル」の四角を描いてみましょう。
それが、大人のグレートピレニーズが、体をゆったりと伸ばしてリラックスして寝そべるのに必要なくらいの、最低限の占有スペースです。そのスペースを確保しても、家族が普段通りにスムーズに生活できるか、一度イメージしてみましょう。
犬が安心できる自分だけの場所(クレートやベッドスペース)と、家族が快適に過ごす場所、その両方が共存できる空間があるかどうかの確認は、犬にとっても、人にとっても、ストレスのない共同生活を送るための基本となります。
日本の夏を乗り切れるか?24時間の温度・湿度管理の覚悟
日本の夏を、グレートピレニーズと共に越えるということの重大さを、もう一度、心に刻む必要があります。これは、単なる「快適さ」の問題ではなく、「命の安全」の問題です。夏の間の電気代が、たとえ例年の2倍、3倍になったとしても、それを「愛犬の命を守るためのコスト」として、ためらうことなく受け入れ、涼しい環境を提供し続ける覚悟があるでしょうか。
旅行や帰省で家を空ける際も、ペットホテルや預け先が、同様の環境を保証してくれるか、事前に確認しておく必要があります。「少しの時間だから」「今日は曇っているから」といった油断が、取り返しのつかない事態を招くことを、常に忘れてはなりません。
家族全員の同意と協力体制は整っているか
グレートピレニーズのような超大型犬を家族に迎えることは、一人の熱意だけで決して進めてはならない、家族全員に関わる一大事です。ただ「犬が好きか嫌いか」という次元の話ではありません。
毎日の大量の抜け毛の掃除、よだれで汚れた床の掃除、力強い引きに対応する散歩の分担、しつけに対する考え方の統一、そして将来の介護の問題まで、起こりうる全ての現実的な課題について、家族全員がテーブルを囲んでオープンに話し合う必要があります。
そして、全員が心から「ようこそ!」と納得し、「みんなでこの子を生涯幸せにしようね」と、同じ方向を向いて協力し合える体制を築いておくことが、絶対に不可欠です。
独立心を理解し、根気強く向き合うしつけの覚悟
グレートピレニーズの、時に頑固にさえ見える独立した心は、決して欠点ではありません。それは、この犬種が何千年もの間、自らの力で生き抜いてきた証であり、誇り高く、そして尊敬すべき個性です。
その個性を「扱いにくい」と捉えるのではなく、「頼もしいパートナー」として受け止め、決して力で支配しようとせず、対等な立場で信頼関係を築きながら、根気強く、愛情を持ってしつけに取り組む覚悟が、飼い主には何よりも求められます。犬が「なぜ?」と考えている時には、その気持ちを尊重し、理解できるまで待ってあげる優しさ。良いことができた時には、心から褒めてあげる喜び。その積み重ねが、何ものにも代えがたい強い絆を育みます。
万が一の病気や介護に備える心と費用の準備
今は元気いっぱいで、永遠にこの時間が続くように思えても、愛するグレートピレニーズも、いずれは必ず歳をとり、体が弱り、病気になったり、介護が必要になったりする日がやってきます。
50kgを超える、自分の力では立ち上がれなくなった体を、毎日優しく支え、床ずれができないように体勢を変え、排泄の介助をすることは、想像を絶するほどの精神的、肉体的、そして経済的な負担となります。その「万が一」の、そして「いつか必ず来る」日のことを、元気な今だからこそ具体的に想像し、心を決め、費用を準備しておくことこそが、愛犬の命を預かる者の、最後の、そして最大の責任です。
信頼できるブリーダーや保護犬の情報を探す
これら全ての厳しい問いに対して、ご自身とご家族が、胸を張って「はい」と答えられるのであれば、いよいよ運命の出会いを探す、素晴らしいステップに進むことができます。
その際は、流行や見た目だけで衝動的にペットショップで購入するのではなく、まずはグレートピレニーズという犬種の特性と、その健康を心から愛し、健全な繁殖を第一に考えている、信頼できるブリーダーさんを探すことから始めてください。
ブリーダーさんに直接会い、親犬や兄弟犬がどのような環境で、どのような愛情を受けて育っているのかを、ご自身の目で確かめることは非常に重要です。また、様々な事情で新しい温かい家族を待っている、保護犬のグレートピレニーズを迎えるという、命を繋ぐ、この上なく尊い選択肢もあります。
グレートピレニーズを飼ってはいけない人の特徴
グレートピレニーズは、美しい見た目と穏やかな性格で人気の高い大型犬ですが、すべての人に向いているわけではありません。たとえば、日中家を長時間空ける人にとっては、飼育が難しい犬種です。グレートピレニーズは毎日の散歩やコミュニケーションがとても大切で、十分な時間をかけてあげることが求められます。
また、狭いマンションや運動スペースのない住宅では、体を持て余してしまいストレスをためてしまいます。広いスペースや庭が用意できない場合は、別の犬種を検討したほうがよいかもしれません。
暑さに弱いことも大きな特徴のひとつです。エアコンによる室温管理ができない環境では、夏を安全に乗り越えるのが難しくなります。電気代を惜しんでしまうような場合には、命に関わる危険が出てきます。
さらに、グレートピレニーズは非常に賢い反面、独立心が強く、しつけには時間と根気が必要です。短期間で従順になる犬ではないため、一貫した態度で接し続ける覚悟が必要です。
加えて、毎月かかる費用も小型犬に比べて高額になります。ドッグフードの量、トリミング、病院代、保険料などを合わせると、相当な維持費がかかるため、経済的に余裕がない人には負担が大きいでしょう。
最後に、抜け毛や体臭にも注意が必要です。清潔に保つためにはこまめな掃除と手入れが欠かせません。毛やにおいに敏感な人にとっては、ストレスの原因になる可能性があります。
このように、グレートピレニーズを迎えるには、時間・空間・経済力・根気のすべてが求められます。しっかりと準備と覚悟をもって、適した環境を整えてから迎えることが大切です。
グレートピレニーズは金持ちの犬? まとめ
「グレートピレニーズは金持ちの犬」という言葉は、一面では真実を捉えていると言えるでしょう。確かに、その生涯を支えるためには、平均的な他の犬種よりも、多くのお金も、たくさんの時間も、そして広い家も必要になる可能性が高いです。
グレートピレニーズが本当に必要としているのは、それらの物理的な豊かさ以上に、飼い主の「心の中にある豊かさ」です。大変なお手入れや掃除を、「この子のためにできる喜び」と感じられる深い愛情。言うことを聞かない時でさえ、その子の個性を尊重し、気長に、そして笑顔で待ってあげられる「心のゆとり」。そして、何があっても、病める時も、健やかなる時も、その命が尽きる最後の瞬間まで、最高のパートナーとして隣にいるという「揺るぎない覚悟」。
グレートピレニーズとの生活は、お金では決して買うことのできない、かけがえのない喜びと、魂で通じ合うような深い絆を、きっとあなたに与えてくれます。この記事が、あなたがその素晴らしい未来へと踏み出すための、優しくて心強い、最初の一歩になることを、心から願っています。





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